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12月, 2021の投稿を表示しています

今日も私はSondheimの曲を歌う

 今日も私は通勤中の車の中でソンドハイムの曲を流しながら歌っている。また散歩しながらお気に入りの曲を口ずさんでいる。なぜならとても楽しいから。  ソンドハイムの曲は難解だと良く言われる。確かにリズムは複雑だし早口で歌わなければならない所も多いので、そう言われる理由は専門的な知識に乏しい私でも少なからず分かる。でもそのメロディは圧倒的に耳に残りやすく口ずさみやすい。難解さと口ずさみやすさが両立するのが不思議なのだが、それこそがソンドハイムの魅力なのだろう。  イメルダ・ストーントンは 英「ガーディアン」紙に掲載されたソンドハイムへの追悼 で次のように語っていた。 「私にとって彼の作品は曲がどのように聞こえるかということではありません。どう感じるか、です。ある意味では彼はあなたのために多くの仕事をこなしてくれています。自分がどう歌えるか心配する必要はなく、ただ曲を読めばいいのです。彼はモノローグを書き音楽でそれぞれのリズムや鼓動を表現しています。難解で複雑ですが、その分やりがいがあります」    またパティ・ルポーンは 昨年収録されたソンドハイムとのインタビュー で「あなたの楽曲はこの上なく舞台に適しています」と彼に伝えていた。  ソンドハイムのミュージカルに出演した俳優たちはほぼ例外なく同様のことを言っている。  ソンドハイムの曲には素人が歌うだけでも何となくその人物になりきれてしまうような楽しさがあるように思う。ある時は大都会NYで出会いに胸ときめかせる女性になれるし、童話の中の赤ずきんやシンデレラにもなれるし、劇作家としての成功を夢見る若者にもなれるし、昔は一斉を風靡した大女優にもなれるのだ。  そしてソンドハイムの曲には何と言っても韻の魅力がある。歌詞をじっくり読むとコレもアレも韻を踏んでいるという発見が沢山あり、その奥深さには脱帽する。韻によって心地良いリズム感が加わり歌うことが何倍も楽しくなるのだ。今回はソンドハイムの曲で使われる韻について書きたいと思う。   アメリカの「CBSニュース サンデーモーニング」で司会者David Pogueがソンドハイムの韻の魅力について非常に分かりやすく解説していた ので共有させてもらう。ここで紹介されていたのが『COMPANY』からの1曲「Getting Married Today」。 “Getting Married T

A Tribute To Stephen Sondheim

 2021年11月26日、大好きなスティーヴン・ソンドハイムが亡くなった。  私はその週ちょうど出張で東京に滞在していた。日本時間で27日の朝、宿泊先のホテルで朝を迎えベッドの中でiPadを手に取りTwitterにログイン。そこで「ソンドハイムが亡くなった」という文字を目にした時は血の気が引いた。嘘だ。お願いだから嘘だと言って…。そう祈るような気持ちだった。  91歳という高齢。私がその時が来ることを全く覚悟していなかった、と言えば嘘になる。でもソンドハイムの死は信じられなかったし信じたくなかった。それはつい最近まで彼がとても元気な姿だったから。たった10日程前には ブロードウェイの『COMPANY』のプレビュー公演 に訪れて観客から喝采を浴び、数ヶ月前には スティーヴン・コルベアのショー に出演し新しいミュージカルに取りかかっていると語り、11月にNetflixで配信されたばかりの新作映画『tick, tick… BOOM!』では、主人公ジョナサン・ラーソンに宛てたヴォイスメールで声の出演をしておりファンを驚かせると同時に歓喜させた。その声がとても若々しかったので、私は当時の残されたヴォイスメールをそのまま使用したのではないかと思った程だ。でもそれは90代のソンドハイムの肉声だった。  そんな風に精力的に活動している彼はどことなく不死身のオーラさえ感じさせていたので、突然その時が来るなんて思っていなかった。 でも悲しいことに人はいつか死ぬ。ソンドハイムが存在しない世界。しばらく現実とは思えず呆然としていたが、帰りの新幹線で 26日の『COMPANY』公演前に行われたソンドハイムへの追悼 で客席のファン達がすすり泣いているのを聞いた時、彼が亡くなったことが現実味を帯び始め急に涙が溢れ出てきた(幸い乗客が少なかったので思いっきり泣くことができたのは良かった)。  その後、数日間は彼の音楽を聴いたりソーシャルメディアに溢れる彼への追悼、感謝の気持ちを読む度に号泣。大きな悲しみと喪失感に襲われながら、私は何故こんなにソンドハイムが好きなんだろうかずっと考えていた。 What would we do without you? How would we ever get through? “What Would We Do Without You?” Sometimes pe